初めての水草アクアリウム

底砂の選択

底砂の必要性

一部の特殊な水槽(ベアタンク)を除いて、アクアリウムの水槽では底砂を用いるのが普通です。 水草を植えていない、熱帯魚の飼育を目的とする水槽であっても底砂を用います。 底砂を敷くと、そこに濾過細菌などが繁殖して水質が安定するからです。

水草水槽では、底砂はさらに重要になります。 底砂は、PH(ペーハー)や、硬度、水中の肥料分濃度など水質に影響を与えるほか、植物の生育具合やコケ(藻類のこと)の蔓延(まんえん)にも関わってくるからです。

底砂の種類

アクアリウムの世界で使用される底砂(水槽の底に敷く砂)には次のようなものがあります。

  • 大磯砂、南国砂、フィリピン砂
    昔からアクアリウム用の底砂としてポピュラーだった砂利(じゃり)で、自然と水草水槽にも用いられることが多かったのですが、大磯砂に含まれる貝殻により硬度が上がってしまうという問題があります。

  • 人工的に作られた砂
    大磯砂など自然から採取される砂利に比べて、形や色が均質で美的に優れているというメリットがあります。 この手の商品のおそらく全ては、硬度などの水質に影響しないでしょう。 ただし、あくまでも砂や砂利なので、後述するソイル系底砂のようなメリットはありません。

  • ソイル系
    ソイル系の底砂は上記の2種類とは異なり、砂ではなくて粘土です。 小学校の工作で使う粘土も粘土ですが、それ以外に、単に砂よりもずっと粒子が細かい土も粘土に分類されます。

    ソイル系の底砂というのはおそらく、この粘土を団粒状にして焼成したものでしょう。 粘土と砂の違いは粒子のサイズだけですが、この粒子のサイズが水槽内の様々な事柄に影響します。

ソイル系のメリット

粘土の粒子は非常に小さいためマイナスの電荷を帯びています。 そして、このマイナスの電荷がカルシウム、窒素、マグネシウム、カリウムなどのプラスの電荷を帯びたイオン(カチオンと言います)を吸着します。 そして、これらのカチオンがさらに、マイナスの電荷を帯びたイオン(アニオン)を吸着するため、水草やコケが利用する栄養分が底砂に吸着されることになるのです。

すなわち、ソイル系の底砂を用いると、底砂に混ぜた肥料が水中に溶け出しにくいだけでなく、水中に溶け込んでいる栄養イオンが底砂に吸着されるために、水草の大敵であるコケが利用できる栄養分が減る一方で、水草は底砂に吸着された栄養分を根から吸収できるというわけです。 これがソイル系商品の、いわゆる「保肥性」というやつです。

例えば植物の三大栄養素の1つであるリンは、水草水槽でも常に過剰となる厄介者ですが、ソイルを使用すると、底砂表面に存在するリンの量が、ソイルに吸着されているリンの量の 1/10,000 程度になるそうです。

つまり、ソイルがリンを吸着してくれるおかげで、コケの生えやすい底砂表面に存在するリンの量が激減し、コケの養分が減るためにコケが生えにくくなるというわけです。

さらに、ソイルは上述のように、カチオンとして水中のカルシウム・イオンやマグネシウム・イオンを吸着するため、水の硬度を引き下げて軟水にする効果もあります。

ソイル系のデメリット

ソイル系、すなわち粘土のデメリットとして挙げられるのは通水性の悪さですが、通水性の悪さをカバーするためにソイル系の商品は団粒構造になっています。 団粒構造は時間の経過とともに失われると言われますが、数年程度の使用では団粒が崩れることは無いでしょう。

オススメの底砂

つまり、水草水槽の底砂としてはソイル系がオススメなのですがアクアリウム用品なので少し割高です。 ADAのアクアソイルの類似品が他社から発売されて、以前よりも安価にソイル系の底砂を入手できるようになっていますが、それでも園芸用品の安さにはかないません。

ですので、極力出費を抑えたい方には、「赤玉土」や「荒木田土」がお勧めです。 園芸用のものはアクアリウム用のソイルと比べてクリーンなイメージが無く、パッケージが砂埃で汚れているとか、水袋の中身を水槽に入れるときにかなりの埃が立つなどで埃っぽい感じはありますが、水槽が完成してしまえばアクアリウム専用のものと比べて遜色ありません。


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赤玉土には肥料分は含まれていませんが、鉄分が多く含まれています(赤玉土の赤色は鉄分に由来しています)。 一方、荒木田土には肥料分が含まれています。 鉄分も肥料分もコケの原因となりますが、コケの原因を完全に絶ってしまうと植物も育たなくなるので、そう神経質になることも無いでしょう。 アクアリウム用のソイルにも肥料分を含むものはありますしね。



必要な底砂の量

水草を育てる場合、底砂の厚さは5cm程度必要です。 60cm水槽の場合は15リットル程度でしょうか。 30cmキューブ水槽であれば、8リットルあれば余るはずです。

底砂は大きい袋のものを買うほどお得なので、少し大きめの容量のものを買うと良いと思います (左記の赤玉土にしても、5リットルと14リットルであまり値段が違っていませんよね)。

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